2025年1月号

   新年明けましておめでとうございます。
       本年も宜しくお願い致します。

 


*粟村 政昭氏の著書「ジャズ・レコード・ブック」を読む。 連載
生前、ジャズ評論家の油井正一氏が、粟村政昭氏の「ジャズ・レコード・ブック」を世界最高の"ジャズ・レコードのガイド・ブック"として絶賛していた。ジャズ全般に渡るレコード・ガイド・ブックは例がない。1968年2月25日 第1刷発行、数年を経て2版〜3版と増補版が発売された。近年、多くのジャズ・ファンから再版の要請があり、一部の評論家やファンが尽力したが、再販は出来なかった状況があった。粟村氏が筆を起こしたのが1965年、58年の時を経て多くのファンの渇を癒すべく、ネットに依る復刻を思い至った。多くのジャズ・ファンや新たなジャズ・ファンの方々に、熟読玩味して頂けたらと思う。この著書は、雑誌「スイング・ジャーナル」1965年2月〜1967年8月まで連載された"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"に端を発し新たな人選の下、全面大改訂をほどこした書籍である。

今回「ジャズ・レコード・ブック」の前身の企画である、雑誌「スイング・ジャーナル」に、1965年2月〜1967年8月まで連載された、"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"に掲載された153名のアルバム紹介をまず読んで頂き、「ジャズ・レコード・ブック」に取り掛かることにしたいと思う。


     ********************


「 ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード 」

                        粟 村 政 昭

"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"は、雑誌「スイング・ジャーナル」1965年2月〜1967年8月まで連載された。最初の一年は編集部の人選であったが、1966年3月から粟村氏の人選に依る153名のレコード・ガイドである。

「某々のレコードは何を買うべきか」といった類の文章には年中お目にかかる様な気がするが、実際にレコードを購入するに当たって頼りになる内容のものは意外と少ない。その理由の第一は、撰択が甘くて最高点クラスのレコードと称するものがやたらと沢山並べられている場合が多いからだ。近頃の我国レコード市場は可成り乱戦気味だから、上手く立ち廻れば外国盤国内盤共に相当安い値段で購入することは出来る。しかし、千円、2千円の支出は我々の生活水準からみて、余程の金持ちでもない限り痛い事には変わりがない。そんな時に、これも良、あれも結構という大様な推薦のされ方をすると、全く腹が立つ。それに執筆者の中には妙にイキがって、ゲテ物レコードや道楽的な吹き込みを挙げる人もいるが、実際に身銭を切ってレコードを買うコレクターにとってこういう人々は明らかに敵である。そんな訳で、この稿を書くに当たってぼくは、推薦レコードは真に良いもの乃至は話題になったもののみにとどめ、出来るだけ少ない数のレコードを選出しておくことに決めた。勿論この他にも傑作佳作といわれるLPは沢山あるから、ファンの方はこの稿を一つの参考として、後は自分の好みに応じてコレクションの幅を拡げていかれるといいと思う。



第6回

< ベニィ・グッドマン >
全盛時代のグッドマン・バンドは、神経質で有能なリーダーの統率のもとに、黒人バンドには聴かれない整然たる合奏の妙味を聞かせた。主として中音域に音を集めたバンド・サウンズはジャンプするリズムに乗って誰の耳にも気持ちよく抵抗なしに入り込んで行った。それだけにコンボ演奏は別として、フルバンドによる録音は、録音自体の悪さもあって、けたたましいハイノートの連発に慣れた今日のファンにとっては、甚だ生ぬるい音の集団としか聞こえないかも知れない。BGの全LPの中で「何か一枚だけを、、、」と言われれば、ぼくは「KING OF SWING」を推したい。これは正確には二枚続きのセット物だが、全盛期のBGバンド並びにコンボに依る演奏を収めたえエァチェック盤で、スタジオ吹き込みの演奏につきものの「缶詰音楽」の味気無さと言うものがここにはない。フルバンドに聴かれる躍動するリズムやエネルギッシュな合奏効果も素晴らしいが、トリオ、カルテットの演奏がもたらすダイナミックな盛り上がりは全く凄いの一語に尽きる。「BGをあなたに」は、例のカーネギー・コンサートの廉価盤。音は悪いが歴史的な価値は大きい。スタジオ録音を集めたものでは日本編集の「スイング黄金時代」(RA-5312)が、バンド演奏とコン物を片面ずつ収録していて内容も良い。バニー・べリガンの入った、「KING PORTER STOMP」が聴けるし、珍しいエラの唄もある。外盤の「trio-quartet-quintet」(Vic LPM-1226)とは1曲しかダブっていない筈だ。セクステットのものでは「Christian with BG」(Col CL -652)で聴けるが「Spirituals to Swing」(Van 8523/4)にはそのステージ演奏が収められており、スイング・ファンなら背すじがゾクゾクするほどの快演が繰り広げられている。

< ベニー・グリーン >
ベニー・グリーンは優れたトロンボニストである。彼のコンセプションは、今日ではモダン派中可成り右翼に属するものと思われるし、「JO JONES SPECIAL」のように中間派のミュジシヤンと共演して見事な効果を挙げた作品さえある。しかし僕はあらゆるモダン・トロンボニストの中でこのグリーンが一番好きだし、気分満点に吹く流麗なソロ・フレーズ、常にスイングとユーモアを忘れないそのプレイを最も高く買う者の一人である。ただ全く遺憾な事に、彼にはこれと言って推薦出来るだけの自分自身の代表的なLPがない。レコードの数は多いのだが、どういうものか泥臭い中途半端な作品ばかりが目につく。これは、共演するミュージシャンの質と、そういう組合せを選んだ彼自身並びにA&Rマンの責任であろう。その証拠に、ジョン・ハモンドの監修になる上記ヴァンガードのセッションやJ&Kと共演した「4 Trombones VoL.1」(Fan 6005)、少し長すぎる嫌いはあるが「Jazz Studio 1」(Dec 8058)など、共演者に人を得た場合の彼は、素晴らしいプレイを聴かせてくれるではないか。僕の一番好きなグリーンのプレイは、彼が初めて名を挙げたチャーリー・ヴェンチュラ・セプテットの全盛時代のコンサート録音「C.Ventura Concert」である。勿論ここでのグリーンはサイドマンの一人に過ぎないし、御大ヴェンチュラの他にコンテ・カンドリィやブーツ・ムッスリもソロをとるから出番は少ないが、彼をフィーチュアした「Pennies From Heaven」など短いながらも思わず微笑を誘われる様な小粋な出来である。このレコードは、一昔前には随分電波にも乗り、古いファンなら大抵一度は耳にした人気盤であった。


< エドモンド・ホール >
生粋のニューオリンズ出身のクラリネット奏者でありながら、エド・ホールにはいわゆる「ニューオリンズ臭」は極めて稀薄である。彼がコンドン一家に加って吹き込んだレコードは数多いし、ジョージ・ウェットリングの「Coller's Band」(廃盤)などは極上のムードに満ちた傑作だったが、ダーティなトーンを駆使してトランペッターのような鋭角的なフレーズを吹く彼のプレイは、どのグループに加っても光彩を放っといった類の融合性に富んだものでは決してない。アームストロング・オールスターズに加って録音した演奏にこれといった佳作がないのも、あながち彼がサッチモ・コンボのマンネリ性に愛想をつかせていた為ばかりではないのである。ホールの傑作として呼び声の高かったのは44年にテディ・ウイルソンと共演して吹き込んだコモドア盤で、リズム隊が弱いが、エド・ホールとウィルソンのプレイは燃然と輝いでいた。これは現在「once upon a time」(main.56022)の一部として聴くことが出来る。その他には現在これと言ったホールのLPはカタログに見当たらない。ブルーノートにクリスチャンとホールが共演した珍盤があるのだがこれも廃盤になってから相久しい。


< ジム・ホール >
チコ・ハミルトンのオリジナル・クインテットの一員として活躍しジミー・ジェフリー・スリーや再帰したソニー・ロリンズのグループに加わり、近くはアート・ファーマーと共に四重奏団を組んでその好演振りを讃えられたジム・ホールは、稀に見る趣味と協調性に飛んだ白人屈指の名ギタリストである。彼の名を冠したLPとしては、僅かに「魅惑のモダン・ギター」(SMJ−7268)一枚があるだけであり、それとても昔の録音に後からドラムだけおダブらせたという不自然な効果の代物であるが、DB誌の人気投票においてこの地味な活動を続けるギタリストを遂に第一位にまで押し上げたファン達の耳は、モダン・ジャズ・シーンに於いてともすれば「孤立した独奏楽器」の位置に追いやられ勝ちなギターと言う楽器を用いて、他のホーン・グループの共演を期待以上の見事さでやりげてみせたジム・ホールの真価を決して見逃すことはなかったのである。彼の最大の長所はグループ・エキスプレッションの意味を完全に理解し、他楽器とのインタープレイにおいて他のギタリストには求め得ない独自の境地に到達したという点にある。彼の名演の聴けるLPとしては、チコ・ハミルトンの「SPECTACULAR」(Pac. Jazz 39)、「J. GIUFFRE 3」(At.1254)、ビル・エバンスの「暗流」(USA-1029)、アート・ファーマー四重奏団の「インターアクション」(SMJ-7168)、ポール・デスモンドの「ボサ・アンティグア」(SHP 5445)


<ライオネル ハンプトン>
スイング時代を通じての最も華やかなレコーディング・セッションと言えば、先ず挙げられるのがテディ・ウイルソンのブランスウイックに於ける吹込みとライオネル・ハンプトンがビクターに残した一連のオールスターズに依る録音の二つであろう。最近の様にフルバンド振るわず、コンボもまたメンバーの離合集散時ならずといった時勢にあっては「レコーディングの為の臨時編成」などめずらしくも何ともないし、むしろレギュラー・メンバーに依る吹き込みの方が珍重されてよい位のものだが、こうした新しい録音の殆んどが内容的に言って「一回コッキリ」のものであるのに比して、上記二大セッションは各バンドの花形奏者達を次々に起用しながらも、全体として一つの共通した雰囲気を持った「シリーズ」として楽しさを形成していた点に大きな特長があった。両セッションに共通して登場するソロイスト達は主として当時のグットマンやエリントンやベイシー楽団の在籍者達だったが、テディ・ウイルソンが好んで共演したレスター・ヤングを、ハンプトンが遂に一度も起用することなしに終わったのはまことに興味深い歴史上の事実と言わねばならない。こうしたハンプのビクター・レコードにおけるセッションを評して今なお「ハンプトンの吹き込みに駄作なし」との讃辞が識者の間にも信奉されているが、これには僕は少なからず抵抗を感じる者だ。なるほどハンプトンがヴァイブを叩き、あるいはヴォーカルを担当した作品の幾つかは永遠に新鮮さを失わないジャズ史上のクラッシックスに違いないが、彼の演ずるドラム・ソロはリズム感は抜群でも今と成っては感覚的に言ってあまりにもコーニイだし、二本指で弾くピアノに至ってはノヴェルティ以上の興味は持ちょうがないと僕は思うのだが...。ハンプトンの傑作LPはキャムデンから出ていた二枚が廃盤になってしまって「SWING CLASSICS」(Vic LPM2318)−枚しか市場にないが、「SUNNY SIDE」や「RING DEM BELLS」の入った貴重盤。ただし一曲だけタイトルと中味が違っている。BGコンボに加わっての快演の数々はグットマンの項を参照して頂きたいが、「VIBRAPHONE BLUES」や「BLUES IN YOUR / MY FLAT」といった傑作がLP化されていないのは全く残念だ。ハンプトンのフルバンドに依る吹き込みは皆よくスイングしてはいるがいささか単純に過ぎる。ベン・ウェブスターやクラーク・テリーを加えて吹き込んだ「YOU BETTER KNOW IT」(Imp S-78)は、ビクター時代の雰囲気を再現せんとした好企画の一つで、最近でのハンプの傑作に入ろう。

次回につづく (参考文献 東亜音楽社)


=========================================================================================================================================


<<< 今回からオーディオにまつわる話を載せていきます。>>>
 
オーディオほど自己満足な部分があり人それぞれの音の好き嫌いと言う感性が占めているので、強く自分の思いを伝えすぎると反感をかう事になるのかなと思います。以前、オリジナルのレコードとアナログプロダクションで再発したレコードの視聴感をオリジナルの音より良かったと書いてネットに載せたら「そんな事はありえない」と抗議されたことがありました。「オーディオ散歩」は私が感じた想いを載せたので軽く受け流してください。

今は音楽を聴く人のほどんどがスマホへのダウンロードなどで音楽を聴いてる人が多く、CDやレコードで聴く人は少数派になってしまいました。昔の様に家のステレオで楽しむ人は一部になってしまい、このため日本のオーディオメーカーは衰退し専門メーカーはほとんど見当たらない状況です。残っているメーカーでも外国資本や大手の家電メーカーの一部が存在するだけでオーディオを趣味としている人には寂しい限りです。スマホの時代ですがここ数年前から若い人たちがレコードを聴き始め、あえて手間のかかるレコードを聴くことが受け入れられてきたようでレコードの魅力はいろいろあるようです。ジャケットの大きさに魅かれたり、音が良い、レコード盤に針を載せて音だしにかかわりを持ったことで小さな達成を感じたなど理由があるようです。オーディオ製品も様変わりしてリモコンで操作したり、USB端子、Bluetooth対応する製品も出てきています。アメリカ国内では数年前にレコードの売上がCDの売上を抜きました。デジタルよりアナログへの回帰が趣味の世界では増えてきてCDからレコードへ、デジカメからフィルムカメラへなども一例のようでデジタルより時間も費用もかかるがアナログの世界感はデジタルでは再現するのは難しいと感じた人もいるようです。ここ数年前からレコードプレーヤーを出すメーカーが増えて国内製、海外製も市場にでまわり始め、5,000万円するプレーヤーが発売されています。構造的にはリムドライブからベルトドライブ、ダイレクトドライブ、今の主流はベルトドライブでフラッターの構造を改善したり使用している材質が変わり高級機種ではアームなどカーボンに移行され高強度・高剛性により振動を排除しより多くの情報量を取り出し、昔のプレーヤーとは別次元の音になっています。Youtubeでもハイエンドなプレーヤーを視聴している画像がたくさんUPされて視聴している人の共通の映像は瞬間はびっくりした顔になりすぐに笑うという、「今まで何を聴いてきたのか」と自問自答しているような画像がUPされています。オーディオは進化していてスピーカーも素材や形状が変わつつあります。進化が良い方向だと良いのですが?20年ぐらい前にオーディオショプ-D社の発表会で総額1億円と言うシステムを聴きましたが大ホールだったので後ろ方までスピーカーの音量が届かなく、舞台の下に音が抜けているようでした。昔のALTECのVoice of The Therterの様な音ではなく、A5システムとかせめてA7システムぐらいの音を期待していたのですが友人と早々にその場から退散したのを覚えています。
  これから音楽を良い音で聴きたいためにステレオをいじったお話をしていきたいと思います。

  *** 次回はコンポネントステレオが欲しくなったきっかけについて、


                                                                 
================================================================== 

 
60年代以降活躍しているボーカリストを紹介します。

 たくさんのボーカリストがでています。この時代公式サイト、facebookなどで
 自身発信をしている人が多く時代はかわりました。
 
 Sisel Storm  シゼル・スートム

 デンマーク出身の女性ジャズ・シンガー・ソングライター。
デビュー・アルバム『SIDSEL STORM』が2009年度《デンマーク音楽賞》で最優秀国内ジャズ・ヴォーカル作品を受賞した2010年のセカンド・アルバム、「スウェディッシュ・ララバイ/Swedish Lullaby」をリリースし甘く繊細なヴォーカルが特徴。その後ラーシュ・ヤンソン、ヤコブ・カールソン、マグナス・ヨルトら北欧/欧州の人気ピアニストらと3枚のオリジナル・アルバムを発表。フォーク・シンガーの父親の影響を受け、ハーモニカ、チェロ、ヴァイオリンなどの楽器を取り入れ、彼女の世界を表現している。
 
  発売CDの一部